2003年7月7日
日本の漢方医学の現況
 明治以降、本邦の医療では漢方治療は認められてきませんでしたが、昭和40年代に漢方製剤が健康保険に適用されてから、急激に漢方診療の場が広がってきました。漢方処方で健康保険の適応となっているものは、100余処方ですが、生薬が多数健康保険適用となってきておりますので、漢方が有効な疾患の多くは健康保険で治療が可能となってきております。
 現在、本邦で行われている漢方治療は、漢方専門の診療機関で自由診療による医療、健康保険適用の一般の医療、薬局の窓口での医療があります。このうち自由診療での医療は伝統的な診断技術などを持ち生薬も吟味しておりますが、全国的に見ても20カ所程度であり、圧倒的に少ないものです。また漢方薬局も昔から相談を受けているところに加え増えてきてはおりますが、まだ絶対数が少ないものです。それらに比べ、健康保険適用の医療機関での漢方医療の場は急増しております。現在本邦には臨床に関わっている医師は約20万人と言われておりますが、その内70%程度の医師が漢方治療を行っていると言われます。尤もその中には漢方処方を1処方しか使わない医師、たまに漢方薬を処方するだけの医師も含みますが、それでも本邦の漢方医療の主たる現場は健康保険適用の医療機関であると言えましょう。
 医師の教育では、西洋医学だけしかなされておりませんでしたが、この1〜2年の間で和漢薬の教育も行われることに決まりました。まだ実際には教育スタッフも揃ってはいないのですが、これから進んでゆくことになると期待できます。現在教育を行っている機関には、富山医科薬科大学に和漢薬の講座がある他には、北里大学北里研究所、東京女子医大東洋医学研究所などがあります。
 診療は上記の研究機関だけでなく、各大学医学部付属病院で漢方外来とか東洋医学外来という名前で行われるようになってきております。大学病院以外の公的病院でも同様の外来が増えてきております。
 医師を養成する機関では上記のように進んできておりますし、漢方を中心とした研究をしている者の学会でも教育を重視した活動が行われております。漢方関係の一番大きい学会は、日本東洋医学会ですが、会員数が約1万人で、医師の教育には専門医制度を設け、約5000人の専門医を認定しております。研修活動も行っておりますので、今後本邦の漢方医療の質は更に高くなってゆくものと期待されております。

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